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ライ・クーダーが奏でる哀愁の音色〜音楽の魅力

ライ・クーダー(2010年時)
ライクーダー2010年時Getty Images

本作の音楽を担当するのはライ・クーダー。4度のグラミー賞に輝いたアメリカを代表するギタリストである。

幼少期からギターをはじめ、16歳の時にはプロミュージシャンとして活躍できる腕前を持っていたライ。1960年代半ばにさまざまなバンドに参加してギタリストとしてのキャリアを構築し、スライドバーと呼ばれる鉄の棒を指に装着して弦の上を滑らせる奏法「スライドギター」を確立する。

ライ・クーダー(1970年時)
ライクーダー1970年時Getty Images

また、彼は、ブルースやフォーク、カントリー、ジャズといったアメリカのルーツミュージックを採り入れ、独自のスタイルを確立したことでも知られる。本作で流れるライの哀愁たっぷりの音色は、さすらいの旅の音楽にぴったりであるとともに、古き良きアメリカを感じさせる。

ライは、サウンドトラックの作曲にあたり、実際に映画のラフカットを見ながら映画全体を象徴する音が聞こえてくるまでじっと待ち、納得がいくまでレコーディングを繰り返したという。なお、彼によれば、本作の象徴的な音は「E♭」。この音は、本作冒頭でテキサスの砂漠を背景に流れる音楽で効果的に使われてる。

ちなみにライとヴェンダースはその後『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』でもタッグを組むことになる。こちらも併せてチェックしたい。

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