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観客の不安をあおるインダストリアルノイズー音楽の魅力

音楽を担当したコリン・ステットソン【Getty Images】
音楽を担当したコリンステットソンGetty Images

本作の音楽を手がけたのは、カナダのサックス奏者コリン・ステットソン。映像作品への参加も多く、『ザ・メニュー』(2022)や『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』(2022)などの音楽も担当している。

コリンが本作に提供した音楽は、ホラー映画らしいノイズミュージックを提供。鼓動や耳鳴りなど、身体的なノイズを思わせるスコアで、観客の緊迫感をこれでもかとあおっている。

特に印象的なのはラスト、カルト教団の儀式のシーンで流れる「Reborn」だろう。激しいトランペットの不協和音が印象的なこの曲は、儀礼的な神々しさをはらみながらも、同時に悪魔的な不気味さも醸し出している。

また、作中では、チャーリーの舌を鳴らす癖や、交霊会時の黒板をチョークが引っ掻く音など、不快な環境音が随所に散りばめられている。こういったホラー映画らしいサウンドデザインも本作の緊張感を高めている。

なお、本作のエンディングテーマは、ジュディ・コリンズが歌う1968年の名曲「青春の光と影」。緊迫感あふれる本編が終わった後に流れるこの曲はポップな曲調とチープなメロディ、そしてメロディと微妙に噛み合わない歌声も相まって、本作の不気味な雰囲気に絶妙にマッチしている。

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