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物語を彩る往年の名曲のかずかず―音楽の魅力

映画『キル・ビル』出演のルーシー・リュー
映画キルビル出演のルーシーリューGetty Images

本作のオマージュは映像や配役だけではない。物語を彩る音楽にもタランティーノの嗜好が随所にちりばめられている。

最も有名なのは、オーレンらが青葉屋に入るシーンで流れる「Battle Without Honor Or Humanity」だろう。本曲は、ミュージシャンの布袋寅泰が『新・仁義なき戦い』(2000年/阪本順治監督)のために書き下ろした曲だが、本作に使われて以降は世界的に知名度を得て、現在は『キル・ビル』シリーズの主題歌として知られている。

なお、布袋は、曲仕様のオファーが来た際、新曲の書き下ろしを申し出たが、タランティーノはこの申し出を断り、既存楽曲の使用にこだわったという。

また、本作のエンディングテーマに起用されているのは、『女囚さそり/701号怨み節』(1973年)で梶芽衣子が歌う「怨み節」で、梶が主演の『修羅雪姫』(1973年)挿入歌の「修羅の花」も作中で用いられている。なお、梶によれば、タランティーノは当初梶に直接面会を望んでいたが、意図が上手く伝わらず、歌のみの使用になったという。

ザ・ブライドが服部半蔵のもとで刀を選ぶシーンで流れる曲は、Lily Chou-Chou(現Salyu)の「回復する傷」。岩井俊二監督の『リリィ・シュシュのすべて』(2001年)の挿入歌として知られる本曲は、いささか本作のテイストとミスマッチではあるが、それがかえって奥行きを与えている。

また、作中では、クインシー・ジョーンズの『Ironside』も使用され、ザ・ブライドの復讐心が表現されている。テレビ番組でも使われることの多いこの曲だが、元はテレビドラマ『鬼警部アイアンサイド』のテーマソングとして制作された曲で、『キング・ボクサー/大逆転』(1972年)でも使われている。

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