「ミギーを出せよ」泉新一登場のラストがアツい…原作改変の是非は? 韓国版『寄生獣 ザ・グレイ』考察&感想&評価レビュー
岩明均原作のマンガ『寄生獣』の韓国ドラマ版である『寄生獣 -ザ・グレイ-』が、4月5日(金)よりNetflixにて配信開始された。元々海外での人気も高い同作を、大胆なリメイクを加えて実写化した同作は、日本人的にアリ? ナシ? 忖度なしのレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 考察 解説 評価 感想】
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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】
フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note
岩明均の超人気漫画『寄生獣』が韓国で大胆リメイク
2024年4月5日(金)、Netflixで『寄生獣 -ザ・グレイ-』が公開開始となった。岩明均原作のマンガ『寄生獣』の韓国ドラマ版である。原作は2020年時点での2400万部の発行部数を誇る大人気作品で、海外人気も高い。
日本では山崎貴監督によって2014年、2015年に実写化されたが、今回は初の海外実写化ということで、大胆なリメイクがおこなわれた。
深夜、多数の「寄生虫の卵」が韓国に降り注ぐ。ある日EDM音楽のイベントで、寄生された人間が周りを攻撃する事件が発生し、政府は対策専門の組織「グレイ」を創設した。
20代のスーパーマーケットの従業員、チョン・スインは、母に見捨てられ、父には日常的に虐待されるなど、苦痛に満ちた子供時代を過ごしていた。
彼女はある日、通り魔に襲われて死にかけているところ、寄生生物のハイジに侵されることになる。ハイジはスインの体の傷を治すために力を使ったため、スインの脳を乗っ取ることができず、二人は共生関係を築くことになった。
今作は原作マンガを踏襲しているものの、大きく異なるアプローチで寄生獣を描いているのが特徴だ。大事な設定は同じだが、舞台もストーリーもまったく違う。リメイクと表現したほうが近い。
特に大きな違いは「主人公と寄生生物の関係性」だろう。原作では、寄生生物のミギーが、主人公・新一の右手に寄生し、コミュニケーションが取れる。一方で今作では、ハイジはスインの顔の右側に寄生しており、基本的には会話ができない。
原作のミギーというキャラクターはとても魅力的だ。新一とコミュニケーションが取れるし、会話もユーモラスで楽しい。「人間との共生」というテーマにおける「友情」を描く存在として、超キャッチーな存在である。
一方で今作のスインとハイジは、直接的にコミュニケーションが取れない。代わりに「ハイジがスインの意識を15分間だけ支配できる」という設定が加わっている。スインは二重人格のような設定になっているわけだ。
このため、原作マンガと比べると「主人公とパラサイトとの関係性の変化」が良い意味で見えにくい。原作ファンとしては「ミギーを出せよ」という声も有るかもしれないが、原作より考察する余地が残されている印象だった。