原作と韓国版の『寄生獣』はどこが違う?
設定・ストーリーは原作と大幅に違うことは先述した通りだ。原作は少年マンガという側面があり、かなりコメディ要素も多い。
それは「ミギー」がいるからである。ぱっと見は「右手サイズの自由自在に形を変えられる物体に一つ目が付いている」という、文章で書くと割とグロめのビジュアルだ。でもぷにぷにしてそうだし、サイズ感も相まってかなりかわいい。
そんなフォルムだが、哲学者みたいな人間味のない口調で喋る。でも鉛筆を持って勉強したり、新一が手を洗うと「シンイチ つめたい」とか言っちゃう。そんなチャーミングさもある「ギャップ萌え」のキャラクターだ。
その点、今作のハイジは単体としての姿は見えない。あくまでスインと共同体として生きているのでキャラクター性は少ないといえるだろう。だから原作と比較すると、かなりシリアスな雰囲気だ。
今作では「捜査劇」が根底にあるため、どちらかというと大人向けな仕上がりとなっている。『初代ゴジラ』(1954)と『シン・ゴジラ』(2016)の違いに近い感覚だ。このアップデートに関して、原作者の岩明均先生はとても気に入ったという。
個人的には「共生」というテーマへのアプローチとして、こうしたシリアスな描き方をすることで”見ごたえ”が倍増していた印象だ。