寄生獣とコロナウイルスとの類似点とは?
また個人的に「人間に擬態したパラサイト」という観点でおもしろかったのは「コロナウイルス」との関連性だ。
今作では空から飛来してきた寄生生物の幼虫が、誰にも気付かれず人の耳や鼻の穴から侵入し、気付いたら脳を食べられて完全に人間に擬態したまま意識を奪われる、という仕組みで寄生生物が増え続ける。
この「人間に擬態したまま」という点がコロナを彷彿とさせた。もちろんどの病気にも当てはまるのだが、コロナを経るとよりリアルに実感する。
ウイルスもパラサイトの一種だ。人間と共生する必要があり、ワクチンで駆逐されると、生存を求めてだんだんと姿を変えていった。
もちろん原作は30年以上前の作品であり、私が読んだのも15年前くらいだ。しかしいま「共生」というテーマの作品を見ると、どうしてもコロナを思い出すのはおもしろい。
あんなに憎かったコロナも、猛威が去ったいま考えると「ミギーやハイジと一緒か~」なんて、うっすらと愛着が湧いてくる気もする。
余談だが、コロナはワクチンで退治できたからよかったものの、今作のように知性が高いうえに狂暴すぎて「もう殺すしかない」みたいなウイルスが出てきたらどうするのだろう。みたいな妄想に駆られるのも、我々がコロナという未曽有を経験したからこそだ。
“あり得ないこと”を経験した今は「いやいや、そんな怖いウイルスとかいないでしょ~」なんて楽観的に考えられなくなっているのが怖い。