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『寄生獣 -ザ・グレイ-』の哲学的な魅力

© 2024 Netflix, Inc.
© 2024 Netflix Inc

今作では「寄生生物」だけでなく、さまざまなものとの共生を描いている。例えば家族、友人などをはじめ、考え方や価値観の異なる人間との共生についても真摯に描かれているのも良かった。

原作でも同じような哲学的なテーマはあった。今作は特に「家族」について深く描かれていた印象だ。主人公のスインは実の家族から冷たい仕打ちを受け、孤独を感じていた、というキャラクターであり「信じられるものは自分だけだ」という信念を持っている。

あらためて人間には常に「社会的欲求」がある。何かしらのコミュニティに居場所が欲しいし、属さなければやっていけない。家族、友人、職場、いつも挨拶するコンビニの店員とか、ご近所さんとか……誰かと関わらなければ生きていけないという変な動物だ。

つまり人間にとって「共生」というのは呼吸と同じくらい当たり前。でも、これが一人ひとりの哲学・価値観がすれ違うと、上手くいかない。すぐ喧嘩したり、離れたりする。これもよくよく考えると変な行動だ。

『寄生獣 -ザ・グレイ-』は、そんな人間の変な部分をすごく真摯に描いていると感じる。最終話の後半で主人公がもらう手紙の末文には「望もうと望むまいとお前は独りじゃない」と書かれている。

この一文がよかった。人間にとっての事実を端的に書いた一文だ。事実ではあるが、希望とか勇気が内包されているメッセージ性が高い言葉でもある。

これだけバタバタ人が死ぬバイオレンスアクションではあるが、6話まで見るとちょっと優しくなれそうな、哲学的側面があることも魅力だ。

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