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男女の孤独を描いたネオレアリズモの傑作ー演出の魅力

映画『道』のワンシーン
映画道のワンシーンGetty Images

本作は、無垢な小娘ジェルソミーナと、粗暴な大道芸人ザンパノの魂の交流を描いたロードムービー。

監督はイタリアの名匠フェデリコ・フェリーニで、フェリーニの妻であるジュリエッタ・マシーナがジェルソミーナ役を、アンソニー・クインがザンパノ役を演じている。

1954年制作の本作は、ロベルト・ロッセリーニの『無防備都市』(1950年)や、ヴィットーリオ・デ=シーカの『自転車泥棒』(1948年)など、ネオレアリズモというジャンルの映画と同時期に制作された作品として知られている。

ネオレアリズモとは、荒廃したイタリアをドキュメンタリータッチで描いた作品で、悲惨な現実社会を客観的に捉えた作品が多いのが特徴だ。

しかし、本作では、退廃的なイタリアの情景を描きながらも、大道芸や旅路、サーカス、海など、後のフェリーニのフィルモグラフィに共通するモチーフが数多く登場。

加えて、男女の孤独と魂の救済という普遍的なテーマを叙情たっぷりに描いており、従来のネオレアリズモ映画とは一線を画したフェリーニらしい作品に仕上がっている。

なお、本作は公開当時、第29回アカデミー賞外国語映画賞や第15回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)など、さまざまな賞を受賞。

フェリーニの国際的な名声を高めた作品としても知られている。

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