モニカ・ベルッチの迫真の体当たり演技―配役の魅力
本作の演技といえば、やはりアレックス役のモニカ・ベルッチの体当たり演技を取り上げないわけにはいかない。モデル出身で、世界的なスターでもあるモニカだが、本作では美しい裸体を惜しげもなく披露している。
そして注目は、中盤のレイプシーン&殺害シーンだ。
先述の通り、このシーンはあまりにもリアルで、見るだけでトラウマになってしまう人もいることだろう。なお、このシーンは、CGを極力使用せず、役者が演じた演技を早回しにして入れ込んでいるという。
筆者としては正直、このシーンを入れ込む必要が本当にあったのか正直疑問を感じざるを得ないし、スキャンダラスのシーンを撮りたいというノエの意向を動機としているのであれば、アダルトビデオとなんら変わらないと思う。
とはいえ、少なくとも、モニカをはじめとする役者陣の「リアルを表現したい」という意気込みが感じられるシーンではある。
ちなみに、リアリティと言えば、会話シーンもなんともリアル。とりわけ、アレックスやマルキュスが地下鉄でハプニングバーに向かうシーンの会話は、下世話な内容ながら、実在するのではないかとすら思える自然なものに仕上がっている。
なお、モニカとマルキュス役のヴァンサン・カッセルは、撮影当時実際の夫婦だった(現在は離婚)。ラストの二人のベッドシーンの自然な会話は、実際に心が通じ合っている者同士でなければ実現できなかった演技かもしれない。