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侵略者・ナポレオン

映画『ナポレオン』

誰もが名前を知る英雄ナポレオンだが、彼が世界にその名を轟かせるきっかけは、1789年に始まったフランス革命である。

フランス革命により王と貴族による支配に不満を抱いた平民が立ち上がり、絶対王政が崩壊したが、革命後のフランスは大きな混乱と抗争に見舞われることになる。

若き軍人ナポレオンは、その動乱のさなかに突如現れ、数々の功績を打ち立てた。革命政府の軍人として混乱を次々に鎮め、ついにはクーデターを成功させて国家の長となったのである。

また政治家の才に長けたナポレオンは、革命の精神をもって社会の安定を図り、自らの名を冠した「ナポレオン法典」を発布。加えて自ら戦地に赴き、卓越した戦術とカリスマ性によって生涯61もの戦闘を指揮し、フランス皇帝となった後も周辺諸国を圧倒、一時はヨーロッパ大陸の大半を勢力下に置いた。

しかしフランスにとって戦争とは自国を守る闘いだったはずが、ナポレオンはその目的を少しずつ変化させ、やがて血で血を洗う侵略と征服に身を投じてゆくことになる。

ナポレオンが率いた1793年から1815年までに率いた戦闘の数々では、累計300万人以上が戦死し、彼は「悪魔」や「食人鬼」として恐れられる存在となっていくのである。

フランス領コルシカ島という田舎町で生まれた青年ナポレオンは、なぜ軍人・政治家として揺るぎない成功を収めながら、残虐な戦いに取りつかれ、冷酷非道な怪物に変貌したのか?

果たして彼は、気高誠実な英雄か? それとも恐るべき悪魔なのか?

この映画は、その答えを、英雄ではない、「ひとりの人間」としてのナポレオンの素顔に迫ることで紐解いていく。

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