ナポレオンの最期
本作は、島流しになったナポレオンがセントヘレナ島で亡くなるシーンで幕を閉じる。そこでナポレオンは亡くなる際に、妻であるジョゼフィーヌの名前を口にする。
リドリー・スコット監督によると、そのセリフによって「ナポレオンのジョゼフィーヌへの心酔とそのエゴを対比している」ということだ。
ナポレオンはジョゼフィーヌを愛するがあまり心酔し、全てを自分の思うがままにコントロールしようとした。もちろんそんなことは自分勝手なエゴであり、彼自身もそれはわかっていたはずである。しかし強すぎる愛は理性を軽々と凌駕する。その結果、彼は人々から「悪魔」や「食人鬼」と恐れられる存在になった。
死ぬ間際に別れた妻の名前を口にする。一見するとロマンティックなシーンだが、ジョゼフィーヌに心酔するナポレオンが内心では何を思って妻の名前を口にしたのか、それは誰にもわからない。
本作は超大作な歴史スペクタクルであると同時に、1人の人間であるナポレオンの人間性に焦点を当てている。巨匠リドリー・スコットの演出のもと、アカデミー賞受賞俳優であるホアキン・フェニックスが体現するナポレオンは、間違いなく後世に語り継がれるであろう。
(文・ニャンコ)
【作品情報】
監督:リドリー・スコット
脚本:デビッド・スカルパ
製作:ケビン・J・ウォルシュ マーク・ハフマン ホアキン・フェニックス リドリー・スコット
出演:ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー、タハール・ラヒム、マーク・ボナー、ルパート・エベレット、ユーセフ・カーコア
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