ホーム » 投稿 » 海外映画 » レビュー » タイトルの意味は…? ピンクは最後どうなった? 映画『レザボア・ドッグス』徹底考察。何が面白い? パクリの元ネタも解説 » Page 6

観客の想像力に委ねる残虐性—映像の魅力

© 1991 Dog Eat Dog Productions, Inc. All Rights Reserved.
© 1991 Dog Eat Dog Productions Inc All Rights Reserved

本作は、カンヌ国際映画祭で公開された際、「心臓の弱い方は鑑賞をお控えください」というステッカーがポスターやチケットに貼られたという逸話が残っている。

本作で最も残虐なシーンは、ミスター・ブロンドによる拷問シーンだろう。警官を椅子に縛り上げたあと、彼はラジオから流れるスティーラーズ・ホイールの「Stuck In The Middle With You」に合わせてステップを刻みながら、警官の耳をカミソリで切り落とす。このなんともショッキングなシーンに、カンヌ映画祭では退席者が続出したそうだ。

しかし、実はこのシーン、実際に耳をそぎ落とす場面は映っておらず、耳をそぎおとす瞬間にカメラを横に振っている。つまり、残虐なシーンをあえて描かず、観客の想像に委ねるという極めて上品な演出を行っているのだ。

なお、本作では、通常の映画であればスペクタクルとなるはずの強盗のシーンもバッサリ省略されており、強盗たちの闘争や作戦会議のシーンが物語のほとんどを占めている。出来事の周縁から物語を描くという手法には、プロットの巧みさで魅せるタランティーノの技が光っている。

1 2 3 4 5 6 7
error: Content is protected !!