名匠ワイルダーによる喜劇映画の最高峰ー演出の魅力
本作は、『サンセット大通り』(1950年)や『七年目の浮気』(1955年)で知られるアメリカ映画界の巨匠ビリー・ワイルダーによるコメディ映画。キャストには、マリリン・モンローやトニー・カーティス、ジャック・レモンら、当時のハリウッドを代表する俳優が名を連ねている。
全米映画協会が2000年に集計した「アメリカの喜劇映画ベスト100」では堂々の1位に選出されるなど、今や伝説の作品となっている本作。練りに練られたプロットやテンポの良い展開、そしていまだに語り継がれるラストシーンなど、ワイルダーならではのウェルメイドな妙技が全編に冴え渡っている。
そして何より忘れてはならないのは、主人公シュガーを演じるマリリン・モンローだ。映画史を代表する女優であり、空前絶後の“セックスシンボル”と謳われたモンロー。中盤、彼女がコンサートで熱唱するシーンは、おそらく本作を知らない人でも一度は見たことがあるだろう。
とはいえ本作は、ただ単にみんなが楽しく笑えるコメディ作品ではなく、ワイルダー流の人生哲学が詰め込まれている。次ページからは、早速本作に秘められた謎を解き明かしていこう。