リアリティ溢れるダンスとパフォーマンス~演技の魅力
本作の演技といえば、ミア役のエマ・ストーンと、セバスチャン役のライアン・ゴズリングだろう。2人はともにアカデミー賞の主演男優賞と主演女優賞を受賞している。
本作でジャズピアニストを演じているゴズリングは、この作品のために3ヵ月間ピアノを猛特訓。1日2時間×週6日のレッスンで、「ピアニストとしての身体」を完全にインストールした。
また、エマ・ストーンの演技の出色は、セバスチャンがオーディションの結果を伝えにミアの実家を訪れるシーンだろう。失恋と挫折からすっかり自信を失くしたミアの絶望を見事に演じている。
一方、歌とダンスにおいては、むしろミアとセバスチャンの人としての未成熟さを際立たせるために、「下手」なダンスを志向していたという。この演出は、完璧さを求めるミュージカル映画では画期的といえるだろう。
また、R&Bの大物歌手・ジョン・レジェンドの出演も見どころの一つ。彼は、過去のジャズに固執するセバスチャンを戒め、「新しいことをやらなきゃ」と自らのバンドに誘う。グラミー賞を受賞したレジェンドでなければできない、説得力のある役である。