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“本物”にこだわった渾身の画作り~映像の魅力

本作の映像の特徴は、なんといってもそのダイナミックな映像美だろう。とにかくありとあらゆる映像が、息を呑むほど美しいのである。

例えば、実際のハイウェイを2日間封鎖して撮影されたという、オープニングのシーン。全く進まない渋滞に業を煮やしたドライバーたちが車から飛び出し、ロサンゼルスの青い空と美しい景色のもと一斉に踊り出す。その時間、5分30秒。驚きはなんと、95人構成のオーケストラと40人の合唱団が参加するこのシーンを、ワンカットでやり切っていることである。「ツカミはOK」なんて言葉がちっぽけに思えるほど、とにかく圧倒されてしまう。

撮影監督のリヌス・サンドグレン
撮影監督のリヌスサンドグレンGetty Images

また中盤、パーティーを後にしたミアとセバスチャンが丘の上でタップダンスを踊るシーンも必見。このシーンは、日没直後のマジックアワーに撮影されており、うっとりと見入ってしまうほど美しい。ちなみにこのシーンは合成は使われておらず、撮影では2晩かけて10シーンを撮影。その中から厳選された1シーンが選ばれたのだという。

なお、本作では、他のシーンでもCG技術が使われておらず、すべて撮影現場のセットや特撮技術で撮影されている。そう、本作の映像の魅力は、安易にCG技術に頼らない、“本物の魅力”であり、これこそ、古き良きアメリカ映画が追求してきた魅力なのである。

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