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『チャーリーとチョコレート工場』を超える表現力

© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
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公開から20年弱経った今でも世界中で愛され続けている、ティム・バートン監督作の『チャーリーとチョコレート工場』。あの世界観が蘇ることを楽しみにしていた観客は私だけではないだろう。

さて、本作は前作を超えることができたのか? ここからは両作を比較していこう。

ティム・バートン監督作の『チャーリーとチョコレート工場』で描かれるウィリー・ウォンカは、青白い顔に不気味な仕草が特徴。歯医者の父親から甘いものを禁止されて育ち、親子関係にコンプレックスがある。

これに対して本作で描かれるウィリー・ウォンカは、純粋にチョコレートを愛する青年で、優しい母親からたっぷりの愛情を受けて育った。

本作はティム・バートン監督の描いたダークな部分はそぎ落とされている。細かい設定も微妙に違うため、前日譚というよりもリブート版というほうが正しいように思われる。

しかし、アップデートされたとはいえ、『チャーリーとチョコレート工場』を継承する部分もあり、ティム・バートン版のファンでも、十分に楽しめるだろう。たとえば、食べると髪の毛がフサフサになるチョコレートは、『チャーリーとチョコレート工場』でも試作品として登場。また、どちらの作品も圧巻の雪景色が堪能できるという点で共通している。

また、別々の作品でありながらも、所々にパラレルワールド的なつながりを感じさせる。ジョニー・デップ×ティム・バートン版のファンであれば、前作の符号を見つけるのも楽しい作業だろう。

また、本作では前作よりもさらにファンタジー要素がパワーアップ。舞台装置の絢爛豪華ぶりもより磨きがかかっており、美術品の美しさには観ていてタメ息がでる。

「ハリーポッター」シリーズや「パディントン」シリーズのスタッフが集結した本作は、“魔法の世界を描く”という点で徹底されており、CG表現は2005年に製作された前作を優に超えている。

“魔法のプロ”たちが作り出した世界。映画館という特別な場所でぜひ没入していただきたい。

(文・野原まりこ)

【作品情報】
監督・脚本:ポール・キング
製作:デイビッド・ヘイマン 原案:ロアルド・ダール
出演:ティモシー・シャラメ、ヒュー・グラント、オリヴィア・コールマン、
サリー・ホーキンス、ローワン・アトキンソン
配給:ワーナー・ブラザース映画
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