「芸人時代に観てぶっ飛んだ!」俳優・三浦誠己が愛する最高の名作映画(3)。パッケージに一目惚れ…青春の暗部を描く名作
text by 編集部
各界で活躍する著名人に「人生に影響を与えた映画」をセレクトしてもらい、その魅力を語ってもらうインタビュー企画。今回登場するのは、これまで100本以上の映画に出演してきた、俳優の三浦誠己さん。日本映画を代表する名バイプレイヤーが選ぶ心の5本は? 今回は第3回。
●パッケージに一目惚れ…。青春の暗部を柳町光男監督がリアルに描く
『十九歳の地図』(1979)
監督:柳町光男
原作:中上健次
脚本:柳町光男
出演:本間優二、蟹江敬三、沖山秀子、山谷初男、原知佐子
【三浦誠己コメント】
初めて観たのは21歳の時。地元の和歌山から上京してすぐのタイミングですね。当時、東中野に住んでいたのですが、近所のTSUTAYAに行ったら、VHSのパッケージが面陳されていて、目を惹かれました。一度観て巻き戻して、立て続けに2回観ましたね。
主人公は和歌山から上京して、予備校に籍を置きながら新聞配達のバイトをしている青年。
演じる本間優二さんは元暴走族の総長で、職業俳優ではないにもかかわらず、素晴らしい演技をされています。
新聞の配達先で気に食わない家を発見しては、自家製の地図にバツ印をつけていく。「田舎はどこなの? ケーキを食べていく?」と親切にしてくれた家も、偽善者ぶりが気に食わなかったのか、容赦なくバツ。主人公が地図を睨みながら、狭い部屋で悶々とする姿に狂気が垣間見えます。
初めて観たときに思ったのは、鬱屈している人間は面白いけど、自分の主観だけの世界で生きていたらもったいないな、ということでした。当時僕も若かったので、“社会はすべて敵だ”といったムードに共感するところもありました。青春の暗部を柳町光男監督がリアルに描いてくれたおかげで、それを上手く反面教師にできた気がします。
何はともあれ、10代~20代の頃に観た作品は印象に残っているものが多いですね。
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