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巨額赤字で大爆死! 史上最低の大コケ「アニメ映画」(1)。ジブリ映画も爆死あり…悪夢連発で25億円の惨事

text by 寺島武志

世はアニメブーム。近年は年間の興行収入ベストテンをアニメ映画が独占することも珍しくない。とはいえ、すべてのアニメ映画が大ヒットしているわけではもちろんなく、興行的に伸び悩んだ作品も少なくない。今回は、大爆死した赤字アニメ映画をご紹介。映画史に残る大コケ赤字アニメ映画を5本セレクトした。(文・寺島武志)

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制作時間費やしすぎ!
スタジオジブリの渾身作はまさかの爆死

『かぐや姫の物語』(2013)


出典:Amazon

製作国:日本
監督・原案:高畑勲
原作:「竹取物語」
脚本:高畑勲、坂口理子
キャスト(声優):朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子

【作品内容】

山で竹を採って暮らしていた翁は、竹林で光り輝く不思議な竹から小さな女の子を見つける。女の子は翁と媼に大切に育てられ成長していったが、翁は立派な女性に育てるべく作法を身につけさせようと都に移り住む。美しい娘へと成長した姫の元に、5人の求婚者が現れるが…。おとぎ話の「かぐや姫」とは違い“罰と罪”の物語。

「火垂るの墓」や「平成狸合戦ぽんぽこ」を制作した高畑勲監督が、「竹取物語」を原作に水彩画タッチで野心的な映像表現を試みた長編アニメーション。

【注目ポイント】

監督を務めた高畑勲Getty Images

高畑勲監督の14年ぶりの新作として、スタジオジブリが総力を挙げ、企画から完成まで8年の歳月をかけ、大々的に公開された。興行収入は約25億円と十分にヒットしたと言えそうなものだが、50億円を超える製作費を投じたため、結果的には大赤字に終わった。

そもそも、なぜこんなにも制作に時間を要したのか。まず、高畑が超が付くほどの遅筆だったことが挙げられる。企画立案から高畑を説得するまでに1年半を要し、脚本の執筆が開始すると、半年で進んだのはわずか9ページ。

非常事態であるにもかかわらず、当時の高畑は、ジブリの中で半ば“神格化”されていたため、誰も急がせる人物がいなかったことが問題だった。そこで、ドラマや映画で活躍する脚本家・坂口理子に協力を仰ぐことになった。坂口はその期待に応え、わずか3か月で脚本の初校を書き上げたという。

一難去ってまた一難。次に問題となったのが、アニメーターの田辺修だ。宮崎駿も一目置くほどの凄腕だが、本作では、抽象的なテーマから具体的な絵を立ち上げるのに難航したのか遅々として作業は進まず、作品の進行は遅れに遅れた。

ポストプロダクションもトラブルに見舞われた。アフレコ収録済みだった地井武男が亡くなると、高畑は「内容を変更したい」と主張し、セリフ変更の大工事に着手。「声が似ている」という理由で三宅裕司が代役を務め、ピンチを脱したという逸話も有名だ。

傍目から見ると、高畑は映画が完成してしまうことを拒んでいるように見える。それは偉大なクリエイターの業のようなものだろう。天才に振り回された結果、莫大な製作費と時間を費やした本作。公開延期の末に世に放たれたが、もはや製作資金を回収するだけの力は残っていなかった。

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