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面白すぎて大満足! 2023年、最高の民放ドラマ(5)残念なポンコツ男…共感者続出、新時代の恋愛ドラマ

text by 寺島武志

今や配信作品が増え続け、あらゆるタイプの作品を視聴できるようになり、視聴者はその度に鑑賞する作品の選択に迫られる。そんな中、民放ドラマも負けじと魅力のある作品を制作し続けている。今回は、社会現象となった『VIVANT』をのぞき、クオリティーの高かった民放ドラマをセレクト。作品の魅力も解説する。(文・寺島武志)

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Z世代に支持
もどかしい展開の新時代ラブストーリー

『こっち向いてよ、向井君』


出典:Amazon

放送期間:7月12日~9月13日
放送時間:水曜22:00~23:00
放送局:日本テレビ系
脚本:渡邉真子
原作:ねむようこ
最高視聴率:6.0%
キャスト:赤楚衛二、波瑠、生田絵梨花、岡山天音、財前直見、市原隼人、森脇健児、内藤秀一郎、岩井拳士朗、若林時英

【作品内容】

主人公・向井悟(赤楚衛二)は、雰囲気も性格も良く、仕事もできるのに元カノ・美和子(生田絵梨花)との別れを引きずり、10年間彼女がいない33歳のサラリーマン。10年ぶりに恋をしようと意気込むも、全く思うように恋愛関係に発展しない…。恋愛迷子・向井くんのゴールはどこにあるのか?

【注目ポイント】

波瑠
波瑠Getty Images

失恋経験を引きずり、二枚目であるにも関わらず、彼女いない歴10年となってしまった向井悟を、連ドラ初主演となる赤楚衛二が演じたラブコメディー。原作は、ねむようこ氏の同名マンガだ。

ねむ氏がたまたま聞いていたラジオ番組で、パンサーの向井慧が自身の恋愛観を語っていたことから着想されたとされており、その主人公の名字も拝借している。

本作は、主人公の向井くんがとにかく迷走を続ける物語だ。顔は悪くない。仕事だってできるし、人当たりも良い。それなのに、恋愛においては上手くいかない…。とことん「ポンコツ」ぶりを見せつける向井くん役の赤楚衛二が「残念なイケメン」としてハマっていた本作。

また、そんな迷走する向井くんに恋の指南をする坂井戸洸稀を演じた波瑠の演技も高く評価された。洸稀の言葉は向井くんだけなく、視聴者の胸にも強く刺さる名言が多かった。

「相手が投げてきたボールをただ受け止めてるだけ。投げ返しなよ、向こうはキャッチボールがしたいんだよ」

のように恋愛だけでない、他人との向き合い方を考えさせられる洸稀に、向井くんが徐々に惹かれていくのも納得である。

本作は恋愛ドラマでありながらも、単にロマンスを描いた作品ではない。現実としての恋愛を主軸に、人と人の意思の疎通、コミュニケーションの難しさを説いている。もどかしい展開の恋愛ドラマだが、向井自身の成長物語ともに、哲学的な気付きを与えてくれる新時代のラブストーリーだった。

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