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謎解きが面白すぎる…! 史上最高の「考察系」日本映画(4)最強の女性は死んだ…? 絶望的考察が絶えない傑作

text by ニャンコ

一口に考察といっても、難解な作品のミステリー的な謎解き要素から、文学的な味わいが後を引く作品まで、楽しみ方は様々だ。今回は、日本映画から特におすすめしたい名作を厳選。昭和中期から現代の新作まで、映画ファンたちに最も考察されている奥深い作品を5本セレクトした。(文・ニャンコ)

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澤村伊智の小説『ぼぎわんが、来る』が原作のホラー映画

『来る』(2018年)

松たか子
松たか子Getty Images

上映時間:134分
監督:中島哲也
原作:澤村伊智
脚本:中島哲也、岩井秀人、門間宣裕
キャスト:岡田准一、黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡、青木崇高、柴田理恵、仲野太賀(太賀)、伊集院光、志田愛珠

【作品内容】

恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。

知紗とは妊娠した妻の香奈(黒木華)が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。

それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった彼は知人から強い霊感を持つ真琴(小松菜奈)を紹介してもらう。

得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子(松たか子)をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが……。

「嫌われ松子の一生」「告白」「渇き。」の中島哲也監督が、岡田准一を主演に迎え、「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を映画化。

黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡らが出演しており、あまりに怖い予告編が話題を呼んだ。悪霊である「あれ」の正体や意味深なラストシーンが賛否を呼び起こし、多くの考察がされているホラー映画である。

【注目ポイント】

本作では「あれ」の正体について、様々な考察が繰り広げられている。

結論を言うと、最後まで「あれ」の正体について明確な答えが描かれるわけではないが、原作が澤村伊智の小説『ぼぎわんが、来る』である以上、「あれ」の正体は「ぼぎわん」であると考えられる。

「ぼぎわん」は、三重県に伝わる妖怪とされているが、その正体は判明していない。推測すると、人々の不満や妬み、そして恐怖を吸い取って力に変える霊、あるいは、その集合体が「ぼぎわん」だと考えられる。

本作で「ぼぎわん」を引き寄せてしまった秀樹の周囲には、彼に対する不満や妬みが渦巻いている。

秀樹の幼い頃に経験したトラウマは、「ぼぎわんに連れ去られてしまった女の子」にまつわるもの。彼は無意識に導かれてか、自らの娘に失踪した女の子と同じ「知紗」という名前を付けるのだが、それによって、「ぼぎわん」が娘の身体を通じて秀樹のもとに襲来。そして周囲の人間に矛先を向け始めた、という考察がされている。

「ぼぎわん」は、霊の集合体であるため、国内最強の霊能力者である琴子(松たか子)でも完全に除霊が出来ない。そのために全国から仲間を集結させたのである。

またラストシーンで描かれた、琴子の安否についても考察が繰り広げられている。というのも、結局のところ「ぼぎわん」の除霊可否が明確に描かれていないからだ。

マンションから「ぼぎわん」のものと思われる大量の血飛沫が吹き出していたが、この血飛沫「ぼぎわん」のものなのか、琴子のものなのかがはっきりと描かれないため、「琴子は除霊に失敗して死亡。ぼぎわんによる呪いの連鎖が続いていく」という絶望的な考察も絶えない。

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