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「サザエさんの方が元気になれる…」お笑い芸人・永野が愛する”ぶっ飛んだ映画”(3)。まるで劇薬…ヤバい映画の最高峰

text by ZAKKY
写真Wakaco

各界で活躍する著名人に「人生に影響を与えた映画」をセレクトしてもらい、その魅力を語ってもらうインタビュー企画。今回登場するのは、お笑い芸人 永野さん。映画をこよなく愛し、自身のYouTubeチャンネルや出演するラジオ番組では、そのユーモラスな映画観を披露する機会もしばしば。そんな永野さんが選んだ珠玉の5作品とは? 今回は第3回。(文・ZAKKY)

●「サントラ盤も愛聴しています」劇薬のような映像・音楽にぶっ飛ぶ

『ロスト・ハイウェイ』(1997)

―――三本目にチョイスしていただいたのは、デイヴィッド・リンチが1997年に発表した『ロスト・ハイウェイ』です。
「デイヴィッド・リンチ監督作品は『ワイルド・アット・ハート』は面白いと思っていて、『ツイン・ピークス』はブームに乗れなかったから入り込めなかった。アートっぽくて、小難しいと思ったんですよ。でも、この映画は、一見して無茶苦茶面白いと思いました。理屈がないじゃないですか。『狂い咲きサンダーロード』と一緒で、ビジュアルが、ブワ~って脳内に飛び込んでくる感じがたまらない。この映画でリンチが好きになったのですが、その後『マルホランド・ドライブ』(2001)を観たら、あまりピンとこなかった。それは、悔しかったっすねえ。入り込みたいじゃないですか! レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のアンソニー(・キーディス)が良いって言っていましたし(笑)」

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―――『ロスト・ハイウェイ』に話を戻しましょうか(笑)。
「そうですね(笑)。パトリシア・アークエットは可愛いわ、一瞬だけどマリリン・マンソンも出ているわで、当時サントラ盤も買いました。そもそも、闇と言うか、暗いのが好きなんだなぁって再確認しましたねえ。映像も音楽も。X JAPANの『ジェラシー』をみんなが聴いていた時期に、BUCK-TICKの『darker than darkness-style 93- 』を聴いていたことなども、思い出したり(笑)」

―――今度は色んなミュージシャンの名前が(笑)。
「『狂い咲きサンダーロード』は、監督の有り余るエネルギーを詰め込んだっていう感じがしたのですが、この映画は監督がプライドを持って感覚に訴えてくる感じ、そういう言葉にならない作風だなと」

―-印象に残っているシーンはありますか?
「あるキャラクターが「ミスター・ミステリーマン~」って言った後、音楽を担当したアンジェロ・バダラメンティの楽曲がダンダダン~!って流れて、黒いキャデラックが出てくるシーンが、凄くかっこよかったですねえ。ほんと、ただ感覚に訴えかけてくるだけの、無駄なシーンなんですが(笑)」

―――お話を聞いていると映画を見返したくなりますね。
「でも『ロスト・ハイウェイ』は、改めて、観ても何のプラスにならない映画だと思いますね(笑)。『狂い咲きサンダーロード』は、気合が入ったり、観ることで得るものは多少あるけど、『ロスト・ハイウェイ』はさらに突き抜けていて、本当に何にもないっていう感じ。何も励まされもしませんし、『サザエさん』でも観ていた方が元気になれますよ、ほんとに(笑)。うん、この映画は、ただ観ている間はブッ飛ぶけど、シラフになった時に2時間無駄だった、みたいな。劇薬のようなヤバい映画ですよ」

―――前向きな気持ちになりたいと思ったら、むしろ観ない方がいいと。
「観ない方がいいっす(笑)。けど、めちゃくちゃ面白い。20代のころに観て、色んな意味で感動したのは間違いないです」

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