最も再現度が高かったキャストは? 映画『東京リベンジャーズ』徹底考察& 解説。実写版のMVPは誰? 忖度なしガチ評価
人気漫画を原作とする映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦』が公開中だ。シリーズとしては本作で一区切り。今回は、映画版で主要な登場人物を演じた俳優たちの再現度や活躍ぶりに着目。実写版のMVPは一体誰だったのか?原作ファンのライターが忖度なしでジャッジする。(文・ZAKKY )【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【『東京リベンジャーズ』とは?】
この物語は、冴えないヤンキーであった20代の主人公・タケミチ。彼が10代のころ、交通事故で亡くなった元彼女・ヒナの死と、その原因ともなった暴走族「東京卍會(東卍)」と敵対する「芭流覇羅(バルハラ)」との抗争を防ぐために、ヒナの弟である刑事・ナオトの特殊能力により、現代と過去をタイムリープする、ヤンキーファンタジーである。
※便宜上、『東京リベンジャーズ』を『1』、『東京リベンジャーズ2』の前編を『運命』、後編を『決戦』と表記する。
北村匠海(タケミチ)は確かな演技力で映画をリード
初登場シーンは、『1』において20 代となった彼がダラダラとアパートで寝ている場面。ダメ男感がよく出ており、冒頭から上々のハマりっぷり。その後、彼は高校時代にタイムリープ。時代ごとにまったく違う姿を見せることになるのだが、過去と現在を行き来することで変化していくタケミチのキャラクターは、以下の3つに分けることができるだろう。
①冒頭のダメダメフリーター・タケミチ
②過去へタイムリープ後のヤンキータケミチ
③過去の経験を経て再び現代へ戻ってくるタケミチ
北村は3種類のタケミチを演じ分けているのだが、特に表情の使い分けが見事。①と③は同じ現代のタケミチだが、マインドは全然違う人物である。③の北村はその辺の微妙だが決定的な差を目つきの芝居で表現しており、その芸達者ぶりは『1』の時点からビンビン感じることができる。
また、『1』では、いわゆる2軍なヤンキーとつるむシーンも多く、実に高校生らしい表情が印象に残る。しかし、自分より強いヤンキーと戦うシーンでは、一転、勇ましい表情を見せる。と同時に、「やってやんよ!」と叫ぶしかない、背伸びをしている弱小ヤンキーがなけなしの勇気を振り絞っている感じが、実によく出ている。
北村は、表情もそうだが、雰囲気を作るのが本当に上手い。一昔前までこんなヤンキーよくいたものである(したがって、ややいじわるな言い方をすると、北村のヤンキー芝居はちょっと古い、ステレオタイプ化された不良を思わせるのも確かではある)。
さらに『運命』では、自分が変えた時間軸で、タイムリープをしなければ取返しのつかない事態を起こしてしまい、悔しさと惨めさが入り混じった何とも言えない表情を見せる。2作目からは、北村=タケミチの芝居は明らかにシリアスさを増していくのだ。
現時点の最新作である『決戦』では、「何としてでも未来を変える!といった決死の表情へと変化していく。そして、命がけの決戦「血のハロウィン」に突入していくわけだが、戦闘中に「やっぱ、こえーよー」と、逃げまとうシーンがあり、緊張感みなぎる抗争シーンを見事に緩和してくれる。
「今までの成長はなんだったんだ!」と、ツッコミたくもなるが、そんなところもタケミチらしい。北村は『1』に戻った時のようなヘタレ顔を見せつつ、そこから打って変わって、でかい声を発して、自分を奮い立たせる。このコミカルかつ熱血すぎる名シーンは、北村の『東京リベンジャーズ』シリーズにおける集大成と呼ぶにふさわしい。ぜひ映画館の大画面で堪能してほしい。