無人島に漂流した男の心の支えとなったバレーボール
『キャスト・アウェイ』のバレーボール(ウィルソン)
落札価格:23万ポンド(約3500万円)
製作年:2000
上映時間:144分
原題:Cast Away
製作国:アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア
キャスト:トム・ハンクス、ヘレン・ハント、ニック・サーシー
【作品紹介】
国際宅配便会社フェデックスのシステム・エンジニアとして世界中を駆け回っていたチャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、ある日飛行機事故に見舞われる。無人島に流れ着いたチャックは、壮絶なサバイバル生活を強いられることになり…。
主演を務めたトム・ハンクスは、飛行機事故前のシーンと無人島生活中のシーンの撮影前後で20kg以上もの減量を行い、第58回ゴールデングローブ賞のドラマ部門で最優秀主演男優賞を受賞している。
【注目ポイント】
2000年公開の『キャスト・アウェイ』は、トム・ハンクス演じる主人公チャックが乗った飛行機が墜落し、命からがら辿り着いた無人島で4年もの間、サバイバル生活を送るというストーリーだ。
孤独な無人島において、チャックの心の支えとなったのは、たった1個のバレーボール。チャックはそのボールに、恋人のケリー(ヘレン・ハント)や友人をイメージして、自らの血で顔を書き込み「ウィルソン」と名付ける。
ウィルソンを話し相手に、チャックは孤独を紛らわせたり、また時には、あまりにも不自由な生活にイライラを募らせ、八つ当たりしたりする。しかし、筏(いかだ)が完成し、島から脱出するために出航するタイミングでウィルソンを海に落としてしまう。
チャックは海に飛び込み、必死に捜索する。その努力も空しく、ウィルソンは海の彼方へ姿を消し、チャックはひどく落ち込む。
チャックにとってウィルソンは暇つぶしの遊び道具ではなく、4年間苦楽を共にした“親友”である。単なるWilson製のバレーボールではあるが、同作においては、“助演男優”ともいえる重要なキャストだ。
映画公開の翌年にあたる2001年、イギリスのプロップストア社が主催したオークションに、撮影で使用された「ウィルソン」が出品されると、23万ポンド(約3500万円)で落札された。落札者の情報は明らかではないが、映画『キャスト・アウェイ』の大ファンであり、きっと「ウィルソン」との別れのシーンで涙を流した者ではないだろうか。
現在、Wilson社公式の商品として、『キャスト・アウェイ』デザインのバレーボールがネット通販で購入することができる。価格は約3000円。映画に登場した「ウィルソン」は、実にその価値を3500倍に高めたことになる。