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実は傑作? 隠れファンも…。
記録にも記憶にも残る音楽映画の迷作

桑田佳祐『稲村ジェーン』(1990年)

監督:桑田佳祐
脚本:康珍化
プロデューサー:森重晃
キャスト:加勢大周、金山一彦、的場浩司、清水美沙、尾美としのり、泉谷しげる、設楽りさ子、原由子、伊東四朗、草刈正雄

【作品内容】

1965年の鎌倉・稲村ヶ崎海岸を舞台に、20年に一度やってくるビッグウェーブ「ジェーン」を待つ若いサーファーたちの姿を描いた青春群像劇。稲村ヶ崎に、ヒロシ、カッチャン、マサシの3人が返ってくる。そこに、波子が現れ、4人に奇妙な友情が生まれる。

【注目ポイント】

監督の桑田はサザンオールスターズのボーカルとして活動Getty Images

サザンオールスターズのリーダー・桑田佳祐が映画初監督にして音楽を担当した本作。ヒロシ役の加勢大周は本作が初主演で、その後トレンディドラマで引っ張りだこになる。

バブル期らしく、ストーリーが希薄な本作。事実、多くの映画批評家から酷評され、桑田自身も「映画としてはイマイチだった」と認めている。

しかし興行的には大成功を収め、興行収入は18億3000万円を記録。サウンドトラックは約134万枚を記録するミリオンセラーとなった。

近年は再評価の動きも見られ、上島竜兵が有吉弘行と『上島ジェーン』なるパロディ映画を作ったり、ラジオドラマ『稲村ジェーン2021~それぞれの夏~』が放送されたりと、記憶と記録に残る作品になっている。

なぜこれほど賛否両論が激しいのか。それは、本作が物語ではなく、音楽や映像美で魅せる新たな映像作品だからだろう。本作が公開された数年後にはミュージックビデオ的な演出で日本映画に新風を吹き込んだ岩井俊二が長編映画デビュー。そういう意味では、時代を先取りした作品だったといえるかもしれない。

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