9.11を機に再評価されたブラピ主演作
『ファイト・クラブ』(1999)
上映時間:139分
原題:Fight Club
製作国:アメリカ
監督:デビッド・フィンチャー
原作:チャック・パラニューク
脚本:ジム・ウールス
キャスト:ブラッド・ピット、エドワード・ノートン、ヘレナ・ボナム・カーター、ミート・ローフ、ジャレッド・レト、デビッド・アンドリュース
【作品内容】
鬼才デビッド・フィンチャーを監督に、ブラッド・ピットを主演に迎え、殴り合いのクラブ“ファイト・クラブ”を創設した青年たちの奇妙な関係を描きながら、文明社会の病巣を暴き出すことで、文明社会の病巣を暴き出すセンセーショナルな人間ドラマ。
自動車会社に勤務し、全米を飛び回ってリコールの調査を担当するエグゼクティブでありながらも不眠症に悩む青年ジャック(エドワード・ノートン)は、精神科医の勧めで、睾丸ガン患者の集いに参加する。
そこで出会う謎の女性マーラ・シンガー(ヘレナ・ボナム・カーター)と知り合うが、不眠症は悪化してしまう…。
【注目ポイント】
あまりにも暴力的な描写が非難の対象とされ、“マッチョ・ポルノ”と揶揄された上に、アメリカ本国での興行収入はわずか3700万ドル(約53億円)で、製作費も回収できない事態に。その結果、20世紀フォックスの重役が解雇されるハメになった。ちなみに、ハリウッドにおけるヒットの指標は1億ドル(約110億円)である。
一方で、日本では興行収入約20億円のヒットを記録。日本におけるヒットの指標は10億円であることを鑑みると、素晴らしい成績だと言えるだろう。
ブラピ人気を証明した形だが、その評判は芳しいものではなかった。しかし本作が再評価される事件が起こる。2001年9月11日の同時多発テロ事件だ。
本作は資本主義社会を皮肉った、哲学的作品だが、反資本主義、そして崩れ落ちていく金融関係のビルといった現実は、本作とオーバーラップするものだ。当初、テロ実行犯として、本作に影響を受けた者の犯行も視野に入れられていたほどだ。
内容は複雑にして難解だが、その事実だけで、いかに本作が先鋭的であったかを示しているといえよう。