『風の谷のナウシカ』がハリウッドで舐めた辛酸
元スタジオジブリ海外事業部取締役部長のスティーブ・アルパートによると、この「ミラマックス」の映画プロデューサーのワインスタインは、『もののけ姫』の上映時間をオリジナルの135分から90分に短縮するように要求。宮崎駿はこの要求を拒否したという。
また、真相は定かではないものの、宮崎はその際、ワインスタインに「ノーカット」という文字が記載された日本刀を郵便で送ったというエピソードも聞かれる。宮崎は「それをやったのは私のプロデューサーです。でも実際、私がハーヴェイ・ワインスタインにニューヨークで会ったときは、カットしろと強く要求されました」と、当時のことを回想している。
また、実のところ、宮崎は、自作の全米公開に失敗した過去があった。それは、1980年代、宮崎監督の2作目となる長編映画作品『風の谷のナウシカ』(1984)だ。本作は、日本での大ヒットを受け、米国の配給会社に買い取られる。
『風と谷のナウシカ』の成功は、スタジオジブリの立ち上げにつながった。しかし、同作は全米公開の際、よりわかりやすい子供向け作品に変更するため、オリジナルの内容から20分以上もカットされるという憂き目をみる。
また、タイトルも『風の谷のナウシカ』から『Warriors of the Wind(風の戦士たち)』に変更。この変更により、残念ながら、本作に込められたメッセージは薄まることになった。