ホーム » 投稿 » コラム » 大爆死…。映画史上稀にみる巨額の赤字を出した世紀の失敗作5選【洋画編】。観客から総スカンをくらった不幸な作品をセレクト » Page 2

ゲームの世界観とは無関係…。
『千と千尋の神隠し』の大ヒットの陰に隠れた映画

『ファイナルファンタジー』(2001)

『ファイナルファンタジー』の劇中カット【Getty Images】

原題:Final Fantasy: Spirts Within
製作国:アメリカ・日本合作
監督・原作:坂口博信
脚本:アル・ライナート、ジェフ・ビンター、坂口博信
キャスト:ミンナ・ウェン、アレック・ボールドウィン、スティーブ・ブシェーミ

【作品内容】

西暦2065年、隕石とともに謎の侵略者ファントムの襲来に遭い、人類は未だかつてない危機に見舞われていた。ファントムにはあらゆる武器も通用せず、命の危険に晒されながら、わずかな抵抗を続けていた…。そんな中、老科学者のシドと女性科学者アキはファントムを無力化させる融和波動を発見、これをもつ8つの生命体を探して人類を救おうとしていた。一方で政府は最終兵器を用い、ファントムの本拠、隕石を叩いて一気に戦争を終結させ地球を守ろうと計画を進めていた。やがて知る驚くべきファントムの正体と生命波動の関係。果たして地球の運命は……。

【注目ポイント】

大人気ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親である坂口博信が手掛けた初の映画作品で、坂口が率いるスクウェア(現スクウェア・エニックス)とハリウッドが手を組み、製作費総額1億3700万ドルをかけて製作された。同作は、当時とすれば画期的な全編3DCGによるSF映画で、2001年度文化庁メディア芸術祭において審査委員会特別賞を受賞している。

時は2065年、地球。人類は地球外生命体“ファントム”の侵入増殖を受け滅亡の危機に瀕していた…という舞台設定でストーリーは進むが、ゲームの世界観とは無関係であり、ゲームのファンからは総スカンを食らってしまう。2001年6月に公開された米国では、数週間で公開が打ち切られた。全世界での興行収入は8513万ドルであり、興行的に大赤字を出す結果となってしまった。

遅れること3か月、日本でも公開されたが、米国での興行不振も影響し、さらには、スタジオジブリの『千と千尋の神隠し』の大ヒットの陰に隠れるという不運にも見舞われ、失敗に終わる。結果、スクウェアは巨額の損失を計上し、映画事業からは撤退する。他にもテレビアニメの打ち切りを余儀なくされ、さらにはソニー・コンピュータエンタテインメントなどからの資本参加を余儀なくされる事態になった。

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