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「小説の感激をドラマを観た人にも同じように感じて欲しい」Huluドラマ「十角館の殺人」内片輝監督、単独インタビュー

映像化不可能と言われたミステリー界の巨匠・綾辻行人の代表作『十角館の殺人』。待望の実写化ドラマ「十角館の殺人」がHuluで独占配信中。今回は、監督を務めた内片輝さんのインタビューをお届け。主演を務める奥智哉、青木崇高との撮影エピソードや、細部にわたる演出に込めた思いなど、たっぷりとお話を伺った。(取材・文:あさかしき)

※ネタバレ注意。本インタビューでは原作とドラマのクライマックスについて言及があります。

「必ずしもリアリズムではない」
原作小説へのリスペクト

写真:Wakaco
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―――内片監督のこれまでのキャリアで、ミステリーやサスペンス作品を手掛けられたご経験が多いかと思いますが、監督ご自身、小さい頃からミステリーがお好きだったのでしょうか?

「子供の頃から江戸川乱歩の少年探偵団シリーズとか好きでしたよ。『電人M』『青銅の魔人』とかタイトルだけでワクワクしますよね。だけどミステリーだけを読んでるってことは全然なかったです」

―――監督のモノづくりのルーツの中には、小説も含まれているのでしょうか?

「エンターテイメントという意味であったんじゃないですかね。文章を読んで、ビジュアル化されるとどんな感じか?って脳内で想像されるじゃないですか。

正直に言うと、ミステリーよりSF小説の方がよく読んでいたような……星新一、小松左京、筒井康隆……海外モノも含めて。映画も何より『スターウォーズ』(1977)が好きでした。SF小説を読んでいると、『宇宙船ってどんなの?』って、挿画が無いと想像がつかない部分があるので、そういうことを想像するのが好きな子供だったのかなと思います」

―――本作『十角館の殺人』の原作者である綾辻行人先生とは、ドラマ「安楽椅子探偵」(1999~2017、テレビ朝日系)からのお付き合いですが、内片監督から見て、綾辻先生の作品が、他の推理小説と比べて際立っている点はどんなところでしょうか?

「トリック自体はもちろんですが、好きな理由の1つに魅力的な世界観があると思います。具体的にいうと、台詞回しの独特さがあって、それは必ずしもリアリズムではない。ある種、 演劇的な方向もあるのではないかと。その虚構性が好きなんです。

何かこうミステリアスというか、怖さといった雰囲気が醸し出される。その文字の流れは、綾辻さんの作品独特の魅力なのかなと感じますね」

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