師匠と弟子の関係だった2人
エノケンは演技だけでなく、人柄も素晴らしく、多くの人に慕われていたという。そんな彼は、シヅ子を「私にとっていちばんつき合いよい女優さんといえば、日本中で彼女をおいて他にない」と絶賛している。そして「榎本先生」と常に「先生」をつけて自分を慕うシヅ子に照れていたという。キャー、エノケン、カワイイ!
エノケンを調べると、こういった素敵エピソードがゴロゴロ出てくるので、自然とファンになってしまった。
ただ、エノケンは病弱で、1950年に「脱疽」という病に侵されてしまうのである。1952年には病気の急な悪化で広島の公演出演ができなくなったが、売れっ子で大忙しだったシヅ子がその代役として急遽出演している。
お互いをリスペクトし、師匠と弟子としてしっかりと絆を結んでいた二人は、律儀で義理人情の人、という大切な部分が共通していたのだろう。
1月15日放送の二人の初対面のシーン、稽古場に貼ってあった3枚の貼り紙にはこう書かれていた。
「喜劇役者とは己を泥まみれにすることである」「質問は弐つまで」「生きるからには努力しよう」。
きっとスズ子はタナケンの教えをしっかり守っていくはずだ。「質問は弐つまで」以外は。二人の芝居シーン、今後も登場してほしい。