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2月、ついに来るつらい別れと「東京ブギウギ」大ヒット

趣里、連続テレビ小説『ブギウギ』©NHK
趣里連続テレビ小説ブギウギ©NHK

さて、1月が愛に溢れた展開が多かっただけに、2月の展開がつらい。愛助が大阪に戻り、治療に専念するが、史実では、愛助のモデル・頴右とシヅ子は、東京駅で頴右を見送ったのが今生の別れとなってしまうのだ。

シヅ子は妊娠5ヶ月で、日劇で開催された「ジャズカルメン」で主演を務め、やがて出産のため入院。その途中、顕右がこの世が去ったという悲報が届く。

「その〝どん底〟の底でヱイ子を生んだのです」(『婦人公論』1966年8月号)とシヅ子は語っている。

愛しい人との別れ。愛助役、水上恒司が素晴らしかったこともあり、個人的には、もう史実を捻じ曲げて、愛助を生かしておいてくれてもいい、とまで願ってしまった。しかし、それをしてしまうと、あの名曲「東京ブギウギ」は誕生しない。「東京ブギウギ」は、シヅ子が一人で愛娘を育てていく決意をし、生きるために「センセ、頼んまっせ」と服部良一に新曲を依頼し、生まれた楽曲なのだから。

「笠置シヅ子は悲嘆のどん底に突き落とされた。しかし、泣いてばかりはいられない。愛児のためにも、自分のためにも、芸能界へカムバックしなければならなかった」(『ぼくの音楽人生』)

シングルマザーとしての覚悟を決め、自分自身の復興の曲として歌った「東京ブギウギ」が、敗戦で焼け野原になった東京に明るく立ち上がる勇気を与え、大ヒットしたのはご承知の通り。そのシヅ子の姿は、戦後の混乱で波乱の人生を余儀なくされた街娼たちの共感を呼び、彼女たちも心強いファンとなっていくのである。

ドラマでも、そのエピソードは描かれる予定。街娼たちのリーダー格で、有楽町界隈を取り仕切っている通称「ラクチョウのおミネ」を田中麗奈が演じることが発表されている。

ただ、勝手な想像だが、その夜の女たちのなかに、かつてのスズ子の親友、タイ子ちゃん(藤間爽子)がいる予感がしてならない。昨年11月24日回で、妊娠が発覚していた彼女。お相手は東京の人で「出張でこっち来る度ウチを呼んでくれてん」「この子生まれたら、ウチも東京行く予定やからまた遊んでな」と話していたが、あれがずっと気になって気になって。考え過ぎで終わりますように……。

(文・田中稲)

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