別れてはよりを戻す、を繰り返す2人
付き合いはじめてからもユリの奔放さは変わらず、晴は浮気の不安を抱えるようになる。
ある日、晴は大学の友人から見せられたSNSで、ユリらしき人物が他の男とキスしている写真を見つけてしまう。そのことでユリを問い詰めるが、まったく聞く耳を持たない。
それどころか「デジタルってそんなに信用できるもの?」と言い出し、興奮してユリをお前呼ばわりした晴に「謝りなさい」と詰め寄る。不服そうな表情を浮かべながらも、晴が謝り、ユリの「はい、許します」で仲直りしたかに思われた。
が、晴のなかのモヤモヤはなくならず、信頼のない関係に価値なんかないと考えるユリは、「もう帰って来ないから」と部屋を出て行ってしまう。別れた、らしい。その後、2人が出会ったコンビニへ晴がお酒を買いに行くと、そこにはユリの姿が。そしてまた、パピコを半分こして、一緒に家へ帰る。
またあるときは、ユリの友だちが「根津晴‘とは’Make Loveだって!」と茶化したことで晴に嫉妬の炎が灯る。無意識とはいえ、他の人の存在を感じさせる言葉尻を、晴は見逃さなかった。これで結局また、別れる別れないの言い争いになる。
そんなふうに、少し別れて、ぬるっと復縁することを、きっと2人はせっせと続けてきたのだろう。
外野は思うのだ。そんなに信じられないならお互いにつらいだけだから、いっそ終わりにしたらいいのに。でも、恋にしがみついているというか、恋に恋しているというか、それでも離れられない時期、というものがある。きっと誰にでも。