アットホームさと危うさが本作の魅力
晴見フィルのトランペット奏者・森大輝(宮沢氷魚)の祖父で、市内でうたカフェを経営する小村二朗(西田敏行)が、指揮者としては若くして引退した夏目に言う。「取り返しのつかないことを取り返しに来たんだね」と。
響との関係を修復する夏目だけでなく、きっとほかの登場人物たちも、自身の取り返しのつかないことを取り返していくのだろう。菜々にとっての高校時代のトラウマのように。そう考えると二朗の言葉は、今作を貫く1本のテーマのように思えてならない。
再生の一方で、暗雲が立ち込めるのは志帆の行動だ。1話のラスト、フランスにいるはずの志帆が日本にいて、しかも古谷に手料理を振る舞うシーンがあった。2人は一体どういう関係で、何を企んでいるのか?
そのほか、晴見フィルの定期演奏会を鑑賞していた當真あみ演じる女子高生や、あおぞらホールを車から眺めていた男、夏目に近づいてきた市長の白石(淵上泰史)など、クセのありそうなキャラクターがたくさんいる。
アットホームながらどこか危険でアパッシオナート(熱情的)なドラマから、早くも目が離せなくなりそうだ。
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