”本当の山猫”は誰か

岩槻、そして龍と駿河が獣になった理由が明かされたいま、残る謎は山猫の正体だ。一時は北見かと思われたが、大河が丸亀のもとから盗み出したデータを見て「北見じゃなかった」と言っていたことから、まだ別の人物の可能性が残る。

ネオメタンにまつわる計画を主導している人物という意味で、丸亀を山猫と考えることもできるだろう。実際に、大久保や綾部（吉田健悟）ら警察を動かしていたことからも、北見と同等かそれ以上の権力を持っていると考えて間違いなさそうだ。

一方で、二葉にはこのまま武蔵に嘘をつき続けた人物で終わってほしくないという思いもある。健一しかり武蔵しかり、自らの正義を貫く武蔵家の人間として、二葉もまた自らの正義を発揮する展開を期待したい。例えば、北見や丸亀の計画を知り、そこに参画する形で内情を探り、健一の失踪にまつわる一部始終を告発する機会をうかがっていた、とか。すでにネオメタンに関する不正の証拠をつかんでいる、とか。

ただ、第10話の予告が和泉の「ありえない」のリフレインだったのが少し気がかりだ。ここまで散々ありえないことが連続しているなかで、なお起こるありえないこと。もしかして、二代目の山猫が二葉だったりするのだろうか。そんなことになったら、武蔵だって「うそだろ」では済まないし、心ごと崩壊してしまいそうだ。

最後の最後、武蔵の前向きな「うそだろ」を聞きながら事件が幕を閉じることを祈りたい。

（文・あまのさき）

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