『エヴァ』を連想させるシーンも…。
ストーリー&カメラワークに見られる庵野色とは?
アクション以外の演技面に関していえば、女性キャスト陣の名演が光る。特に、ルリ子役の浜辺美波は、大半が説明口調のセリフながら、複雑な感情が感じられ、誰もが彼女のファンになってしまうこと請け合いだろう。また、ハチオーグ役の西野七瀬、そしてサソリオーグ役の長澤まさみも、振り切った演技とアクションで観客を魅了する。
そして、他のシン・ユニバース作品同様、「新解釈」の部分も抜かりがない。例えば、本作のテーマである“魂の継承”を表現するため、本作では「プラーナ」と呼ばれる技術が新たに登場している。加えて、ショッカーは、「最も深く絶望を抱えた人間を救済することを実行するために設立した非合法組織」とされ、創設者が開発した人工知能・アイが統率していることになっている。このあたりは、『新世紀エヴァンゲリオン』の「人類補完計画」を連想する方もいるかもしれない。
また、『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』でも見られる“庵野節”も健在。間を極力排除したセリフの応酬や凝ったアングルから撮影されたエッジの効いたカメラワークが随所に見られる。また、本作の場合は、庵野の他の作品と異なり、入り江や富士山などで撮影が行われ、フォトジェニックな魅力にもあふれている。
なお、昭和ライダーは当初、「怪奇アクションもの」と呼ばれており、『ウルトラマン』などのヒーローものの系譜に加え、妖怪やモンスターが多数登場する『怪奇大作戦』(1968年-1969年)などの怪奇ドラマの系譜に連なるものと意識されていた。この点、本作から1960年代のATG映画やアングラ演劇の香りが漂っているという指摘もあながち間違いではないかもしれない。
(文・柴田悠)
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