ホーム » 投稿 » 日本映画 » レビュー » ポルコはなぜ豚に…その深い理由とは? 映画『紅の豚』徹底考察。 実在するヒロイン・フィオのモデルは? 宮崎駿の演出も解説 » Page 5

ポルコ役の森山周一郎の渋い声ー配役の魅力

© 1992 Studio Ghibli・NN
© 1992 Studio GhibliNN

本作の配役といえば、何より主人公ポルコ役の森山周一郎を挙げなけれならない。『刑事コジャック』の主人公テリー・サバラスをはじめ、フランスの名優ジャン・ギャバンや、70年代ハリウッドを代表するアクション俳優、チャールズ・ブロンソンの吹き替えなど、渋い役柄を多く務めてきた森山。深みのある低音ボイスはまさにポルコそのもので、森山のフィルモグラフィを代表する役となった。

そして、ジーナ役を演じるのは、歌手で女優の加藤登紀子。こちらも、落ち着きと貫禄、そして真の強さを内包した加藤の声がびったり当てはまっており、専業の声優には出せない奥深さがある。なお、加藤によると、ポルコを「馬鹿!」と怒るシーンでは、NGを36回も出してしまったという。

また、ポルコの永遠の敵役カーチスを演じるのは大塚明夫。声優としてだけでなく、テレビ番組のナレーターや吹き替えでもおなじみの大塚だが、本作でも持ち前の「いい声」で森山とタメを張っている。

なお、意外なところで、ポルコの飛行艇を直すピッコロの声を落語家の桂三枝(現:桂文枝)が好演。実はこのピッコロ役は三枝ありきのキャラクターで、三枝側から森山に吹き替えを直訴し、森山が宮崎と交渉して新たに書き直されたという。

1 2 3 4 5 6 7