⑤長編小説『聖女の救済』(2008)
原作内容
連載:『オール讀物』2006年11月号 – 2008年4月号
ドラマ放送回:『ガリレオ 第2シーズン』最終章「聖女の救済/愛という名の完全犯罪!!」
「ガリレオ」シリーズ第5弾。『容疑者Xの献身』に続く、2作目の長編作品。短編小説集『ガリレオの苦悩』と同時に刊行された。描かれるのは、内海薫が捜査一課に赴任してから数か月の出来事。草薙が好意を寄せる、とある女性の完全犯罪に湯川が挑む。
『ガリレオ 第2シーズン』の最終話で実写化
【ドラマ版あらすじ】
会社経営者の真柴義之(堀部圭亮)が自宅で殺害された。死亡直前に彼が飲んでいたコーヒーの中には毒物が混入しており、警察は殺人事件であると断定。被害者の妻は、湯川の中学時代の同級生・綾音(天海祐希)であった。綾音はかつて義之の子供を身ごもったが、何者かが運転する自転車に衝突され、流産をした過去がある。
夫婦は離婚間近であったこともあり、岸谷は綾音が犯人ではないかと疑う。しかし、事件当日、綾音は北海道に帰省していたことから、完璧なアリバイがある。岸谷からSOSを受け、事件の捜査を買って出た湯川は、綾音と20年越しの再会を果たす。
湯川は綾音が運営する幼児教室に顔を出し、子供たちの前でとある実験をする。それは電気ポットを使って、お湯の色を変化させるというもの。湯川の実験は例の毒殺事件にも深く関わっている。犯人は義之がヤカンに水を入れる直前に毒物を混入したのではなく、あらかじめ何らかの手段で仕込んでいたのではないか。湯川は推理を働かせるのだが…。
「ガリレオ」シリーズの屈指の神回! 犯人役は天海祐希
第10話の犯人である、湯川の中学の同級生・真柴綾音に扮したのは天海祐希。彼女は浄水器のフィルターにヒ素を仕掛け、夫を殺したのだった。殺害のきっかけは、夫である義之の歪んだ性格が関係している。
不慮の事故による流産で悲しみの淵に沈む綾音に対し、自身の遺伝子を世に残すことしか頭にない義之は、非情にも「1年以内に子供ができなかったら離婚する」と告げたのだ。綾音は義之に強い憎しみを抱き、1年もの時間をかけて殺害を計画したのだった。
前後編と2回に分けて放送された最終回は、トリックの入念さ、犯行動機の切実さを鑑みると、「ガリレオ」シリーズ屈指の神回となった。