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「俺たちさえブレなきゃ大丈夫だ」
『14歳』(2007)を振り返って

写真:武馬玲子
写真武馬玲子

―――個人的には、廣末さんが監督と主演を務められた2007年公開『14歳』を拝見した時に、個人の心の襞(ひだ)に分け入るような繊細なスタイルの商業映画が今後も増えていくだろうし、群青いろはその先頭を引っ張っていく存在になるだろうと思ったことを鮮明に記憶しています。商業映画の枠組みの中で、作品を製作し続けるといった選択肢もあったとお察ししますが、当時どのような考えをお持ちでしたか?

廣末「僕らの初期衝動から生まれたものが100だとすると、商業映画の場合、そこに多くの方の介入があって、僕らがやりたいことの純度がどんどん薄まっていくような感じがしたんですよね。でもそれは誰が悪いというわけではなくて」

髙橋「そうなんだよね。逆にそうした条件下でどんどん良くなる人もいて。そういう人が第一線で商業映画の監督として活躍していると思うんです。純粋にその才能が僕らにはなかったと思っています」

―――『14歳』は、人間のギリギリの部分が映っていて、当時、とても感動しました。被写体にカメラを向けることの葛藤が一つひとつのショット、フレーミングに感じられました。

廣瀬「ありがとうございます。クランクイン前に新宿で髙橋さんと円陣を組んだのを憶えています。『俺たちさえブレなきゃ大丈夫だ』と。

フレーミングに関して言うと、ご出演いただいた香川照之さんから有難い言葉をいただいたんです。『どんなアングルでも、カメラワークでも、そこに役者が生きて存在していれば、フレームのサイズは関係ない』と。

その言葉が本当に励みになって。この脚本を信じて演出すればいいんだ、役を生きればいいんだと思うことができました」

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