④後世への影響:『HUNTER×HUNTER』などに与えた、後続の漫画への影響
本格的なヒールであるベジータなどの宇宙人が襲来した「サイヤ人編」。彼らが常備しているのは、「スカウター」という相手の戦闘力を瞬時に測定できる機器である。
この存在により、悟空を始めとする地球人たちの戦闘力が測定され、誰が誰より強いかということが、読者にわかりやすく伝わるようになった。
ちなみに、最初の測定時には、クリリンは師匠である武天老師(亀仙人)の戦闘力を超えているなど、その時点での力関係に、胸が踊ったものだ。
また、悟空がフリーザにクリリンを惨殺されたことにより、ブチ切れ、「スーパーサイヤ人」に覚醒する。この、他の漫画にはかつてなかったであろうトンデモ展開には、度肝を抜かれた。
こちらも、アニメ版より、原作をお薦めしたい。割と小さなコマで、悟空が突然ブチキれ、次の大コマで、金髪と化した悟空の姿が描かれる。それを見て、呆気に取られる悟飯。
悟飯同様、何が起こったのかわからない読者を他所に、「オラ」から「オレ」に一人称が変わる、怖すぎな悟空。「オレを困らすのな!」と、悟飯に手負いのピッコロを連れて、この場から逃げろと促す、ブチキれ・スーパーサイヤ人・孫悟空。
その後、ピッコロを抱え飛行しながら、悟飯はつぶやく。「お父さんはなったんだ…スーパーサイヤ人に…」と。このシーンに涙した人々は、世界中に数百万人はいるだろう。
その後の「スーパーサイヤ人覚醒」ブチギレ状態の悟空が、フリーザをフルボッコする流れも、痛快な名シーンである。
そして、次のくだりは、どうしても供述したい。
・フリーザ「木端微塵にしてやる。あの地球人のようにな…」
・悟空「あの地球人のようにだ…!? クリリンのことか…クリリンのことかーーーー!!!!」
これは、漫画史に残る、超絶名フレーズである。
…話が逸れてしまったが、「戦闘力の数値化」「覚醒」により強くなるという表現は、後の冨樫義博先生の『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』(集英社)はもちろん、許斐剛先生が描くスポーツ漫画『テニスの王子様』(集英社)などにも受け継がれていることは、周知の事実である。