ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 大人も夢中になるワケは…? 凪を主人公に配した深すぎる理由。 映画『劇場版ブルーロック EPISODE 凪 』考察&評価 » Page 2

アニメ1期では描かれなかった凪の葛藤

©金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会 
©金城宗幸三宮宏太ノ村優介講談社劇場版ブルーロック製作委員会

今作はアニメ1期で描かれたブルーロックプロジェクトの入寮テスト「鬼ごっこ」と一次選考「総当たりリーグ戦」の話が主軸だ。視点を、本編の主人公・潔 世一から凪に移したものとなっている。

原作本編では潔が所属するZチームの視点しか描かれなかった。今回は、凪・玲王が所属するVチームの視点でストーリーが展開される。これまでの話では見えなかった凪や玲王の背景が、新たに明かされる。ここがファンとしてはおもしろい。

映画は凪と玲王との出会いからスタートする。2人がサッカーを始めて、次々に試合に勝利する。そんな活躍がブルーロックプロジェクトの目に留まり、「めんどくさい」と参加を嫌がる凪を、玲王が半ば強引に引き留める形で参加することになる。

2人は順調に「鬼ごっこ」や「総当たりリーグ戦」を勝ち進んでいくが、サッカーのおもしろさに気付いた凪は、二次選考であえて玲王と決別し、潔・蜂楽とともに先に進むことを選ぶ。

このあたりの凪の心情は、アニメ1期では描かれなかった部分だ。凪がどんな葛藤を抱えていたのかが、あらためて明かされる。原作で主人公・潔のライバルとして重要な役割を負っている凪・玲王のバックグラウンドをスピンオフで色濃く描くことで作品として深みが出ている。

ただしもちろん映画には潔をはじめとした本編の主要キャラクターも登場するのだが、今作ではあえてキャラクターを説明していない。そのためマンガ・テレビアニメを知らないと話についていけないだろう。

前提として、基本的には原作ファンに向けて作られた映画といってよいと思う。  新規ファンを獲得しにいく、というよりは「ファン向けの供給」といった印象だ。

テレビアニメ1期放送終了から1年以上経過したいま、アニメ2期に向けた掘り起こしも兼ねているのだろう。そう考えると、このタイミングで近々2期も放映されるのかもしれない。

1 2 3 4 5 6