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凪が主人公に置かれた意味

©金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会 
©金城宗幸三宮宏太ノ村優介講談社劇場版ブルーロック製作委員会

今作の主人公は凪ということで、筆者は最初「なんでスピンオフの主人公は凪なんだ?」と疑問をもったが、あらためて映画を見ると「『ブルーロック』で描きたいテーマを語るうえで、凪は重要な人物だ」と感じた。

『ブルーロック』はサッカーマンガを描くうえで「個人主義(エゴ)」をテーマに置いた点が革命的だ。

それまでのサッカーマンガ(というかスポーツ漫画全般)」といえば「チームプレーで頑張ろう」というものだった。「ONE FOR ALL,ALL FOR ONE」を合い言葉にしている少年サッカークラブは多いことだろう。

つまり『ブルーロック』で描かれる「自分がやりたいこと(エゴイズム)に正直にプレーしなさい」というテーマは、これまでのスポーツマンガとは真逆である。「日本の島国文化・協調性が弱いサッカーの根底にある」とまで言ってのける。このテーマが斬新かつ時代に即していてすごい。

その点において、凪は当初、自我が薄いキャラクターとして登場する。

そもそも「サッカーはやりたくない。スマホゲームだけしてだらだらしながら暮らしたい」というレベルの無気力キャラだ。玲王が「3点獲ろう」と言うから、仕方なくハットトリック決める。天才なのにサッカーにおける自我がゼロなのである。

そんな凪が本編の主人公・潔ひきいるZチームとの試合で感化され、エゴを自覚し始める。その結果、ボスである玲王と決別し進化していく…というストーリーは、作品のテーマを描くうえでめちゃめちゃ分かりやすい。

この映画を見ると、より『ブルーロック』が描こうとするサッカー像を理解できることだろう。

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