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浅野作品の中でも毛色の違う『デデデデ』

©浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee
©浅野いにお小学館DeDeDeDe Committee

今作は、意外にも浅野作品にとって初のアニメ化となる 。個人的には『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』だからこそ、アニメ化に踏み切れたのだと考えている。

今作は、他の浅野作品とはちょっと毛色が違う。

今作までの浅野いにおの長編作品といえば『素晴らしい世界』『ひかりのまち』『虹ヶ原ホログラフ』『ソラニン』『うみべの女の子』 など、あくまで普通の日常を舞台としていた。

大ヒットした『おやすみプンプン』など、時折ファンタジックなギミックは入るが、それでも舞台は一貫して私たちの生きる日常だった。そんななかで、ちょっと斜に構えて生活する、いわゆる「生きづらい系」の登場人物の心理を描く。

この心理描写をものすごくリアルに描くからこそ、同じく「生きづらい系」の読者は激しく共感する。こうした読者は、もれなく感受性が高いので、作品内の登場人物と一緒に病んでしまうわけだ。

しかし『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』の舞台は明確にSFである。そんななかで主人公たちの生活はリアリティたっぷりなのだが、他作品よりもキャラクター性が分かりやすく、何よりかわいくてユーモラスだ。

浅野作品のなかでもキャラクター性が強い『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』 だからこそ、アニメ映えしたのだと思う。

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