突然キャラ変する神木隆之介
キャラクターに一貫性のない浜辺美波
主人公の敷島浩一は特攻隊の生き残り、ということで、熱い設定だなと思っていたが、これもちょっとだけ違っていて、特攻で死ぬ覚悟が出来ずに、ゼロ戦が故障したとウソをついて生き延びた男だった。
上記のバックボーンから分かるとおり、物語序盤の敷島は、かなり軟弱なキャラクターとして描かれている。観ていて拍子抜けするほどの腰抜けで、現代の基準からみてもウジウジしたメンタルを持っているのである。
特攻を躊躇してしまったのはわかる。国のために命を棒にふるのではなく、生きて帰るのは尊いことだ。でも、大戸島で最初にゴジラに遭遇した時、機銃を打たなかったはただの臆病なので、それがずっと引っかかる。
後半になると、敷島はある事件をきっかけに覚醒して逞しくなるが、これもアニメで出てきそうなクールな凄腕キャラに転換しただけに見え、なんだか薄っぺらい。
神木隆之介は力の込もった演技を披露しているのだが、キャラクターに一貫性が無いように映るので、観ているこっちの気持ちが乗らない。
その敷島とひょんなことから生活を共にする大石典子も、最初の登場時は荒っぽい元気キャラだったのに、急にお嬢さんになったり、母性を醸し出してきたりとムラがある。
ただ、演じる浜辺美波の東宝ヒロイン感は収まりが良く、ゴジラに襲われた電車内で、「ミッションインポッシブル デッドレコニング」みたいなぶら下がりアクションを披露してくれただけで充分だ。
とはいえ、神木と浜辺美波の絡みは、どうしても『らんまん』風味が漂ってしまうのが、不運というか、もったいない。