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市川崑の影響を受けたテロップ演出に注目

本作は、2004年の『ゴジラ FINAL WARS』以来12年ぶりとなるゴジラシリーズ30作目。脚本・総監督は『新世紀 エヴァンゲリオン』シリーズで知られる庵野秀明で、監督は『ローレライ』の樋口真嗣。「現代の日本にゴジラが来たらどうなるか?」という仮説の元、随所に「庵野流」のこだわりが垣間見える傑作に仕上がっている。

総監督・庵野秀明(右)妻で漫画家の安野モモコ(左)
総監督庵野秀明右妻で漫画家の安野モモコ左Getty Images

さて、「庵野流」と書いた。ならば、あのテロップに触れざるをえないだろう。『新世紀エヴァンゲリオン」のタイトルでおなじみ、市川崑仕込みのあの明朝体白抜きのテロップである。しかしこのテロップ、本作ではやれ「巨大不明生物の学術的正体等に関する緊急有識者会議」だの「陸上自衛隊 10式戦車」だのと、いささか仰々しく過剰に表示される。

監督と特技監督を兼任した樋口真嗣
監督と特技監督を兼任した樋口真嗣Getty Images

一体なぜこれほどテロップを表示する必要があるのか。それは、この映画の中心に、ある巨大な”名づけえぬもの”が君臨しているからに他ならない。そう、「ゴジラ」である。つまりこの映画は、「ゴジラ」という仮名を与えられた”名づけえぬもの”に、ひたすら「名前=情報」をぶつけていく映画なのである。この視点は、映像内のモチーフを「記号」として扱うアニメーション監督ならではの視点なのかもしれない。

なお、本作のゴジラは、初のオールCG。従来のゴジラは、生の動きへのこだわりからか、着ぐるみの中に人間が入って演技をしていたのである。この視点も、アニメーション監督である庵野でないと成し得なかった演出である。

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