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「お役所用語」を駆使してリアリティを再現

会話が多く、アメリカでは字幕を読むのが大変だという評も
会話が多くアメリカでは字幕を読むのが大変だという評もGetty Images

庵野自身が述べているように、本作はとある映画のシナリオがベースになっている。岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』である。この作品は、ポツダム宣言の受諾から玉音放送に至るまでの閣僚たちの動きをドキュメンタリータッチで追ったもので、本作のテンポの良いカット割りにもこの作品の影響が垣間見える。

また、これまでのゴジラの映画では、登場人物のドラマに焦点が当てられ、彼らの恋愛など、プライベートな要素が多く盛り込まれていた。本作でも、これらの要素を盛り込むよう東映の上層部から打診があったというが、庵野はすべて却下。「ポリティカル・サスペンス」に振り切った。

本作の脚本は、通常の映画に換算すると3時間ほどのボリュームに匹敵する分厚いものだったという。それを、庵野は、「役者の早口」という荒技で2時間の尺に収めた。また、「リエゾン」「レッドノーティス」「金帰火来」など、随所に散りばめられた「お役所用語」にも注目。この演出により、閣僚たちのリアルな動きを描写することに成功している。

なお、本作のシナリオ作成には、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズで脚本・構成を担当した神山健治が参画。日米安保や核兵器、原発など、さまざまな政治的設定が盛り込まれた同作を手がけてきた神山だけに、真に迫った脚本に仕上がっている。

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