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物語の軸となるのは、人間の保安官・ラオ

©バード・スタジオ/集英社 ©SAND LAND製作委員会
©バードスタジオ集英社 ©SAND LAND製作委員会

者筆が思う、映画『SAND LAND』の真の主人公は、人間のラオに他ならない。彼の半生がこの物語の軸となっており、実はベルゼブブよりラオの方が出番も多いのだ。

実はラオは元国王軍の将軍であり、本名は、シバ。

27歳のころ、国王軍の将軍となり、戦車部隊を指揮していた。民衆のために動き、国王や大将軍・ゼウにも時には異論を唱えるその姿は、国民たちの英雄であった。

しかし、それが仇となり、30年前、国王とゼウ将軍により、とある 命令を受ける。

その命令により、30年間苦悩しながら生きてきたラオだが、子供が見ても憧れるような初老キャラとして、非常に魅力的に描かれている。

若いチンピラに絡まれるシーンでみせる、格闘能力の高さは、「まだまだ、若いもんには負けん!」といった気迫が感じられ、痛快そのもの。

また、国王軍から奪った戦車を「まだ、こんな旧式を使っているのか」と、どこか懐かしみつつも軽々と操縦する様は、“イケオジ”極まりない。

ラオのキャラクターとしての魅力は、吹き替え声優に拠るところも大きいだろう。声を担当したのは、『ゴッドファーザー』シリーズ(2001年新録~)において、マイケル・コルレオーネ役を、アニメでは『名探偵コナン』の綾城行雄役などをこなし、マルチに活躍する山路和弘。渋みのある声でキャラクターの内面を繊細に表現している。

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