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主人公はあくまで“悪(ワル)”

©バード・スタジオ/集英社 ©SAND LAND製作委員会
©バードスタジオ集英社 ©SAND LAND製作委員会

主人公・ベルゼブブの魅力についても触れよう。

予告編の時点でうかがい知れる、憎めないかわいいヤンチャ坊主ぶりが観ていて楽しい。

そして、砂漠にはびこる野党や、国王軍を無敵の強さで蹴散らすシーンは、主人公と呼ぶにふさわしい活躍ぶりだ。

また、キャッチコピーにも使用されている「悪魔よりワルだなんて 許されると思うか?」というセリフは超がつくほどの名言。

「人間が勝手に悪だと思っていた魔物より人間の方が、実は悪であった」というテーマの物語はよくあるが、ベルゼブブの場合、自分たちはあくまで悪(ワル)というスタンスで、もっと悪い人間を許さない。

生意気な悪魔ではあるものの、実は優しさと正義感にあふれたベルゼブブのキャラクターは、少年マンガの王道を行くものであり、子供も大人も魅了されずにはいられない。

脇を固めるサブキャラクターも個性的だ。

30年前、大爆発で死亡した軍人アポの息子である、現国王軍のアレ将軍。彼は父の死の真相を知らずにいたが、後に真実を知り、自身の行動について考えるようになる。

純粋まっすぐな性格がよく表現されていて、友達に1人はいてほしいタイプの愛されキャラだ。

さらに、泳ぐことが生きがいであるため、砂漠での生活に困っている野党・スイマーズ一家も、良い味を出している。パパとその息子パイク、シャーク、グッピーの4人組であるが、パパ以外は泳いだことすらないという設定も思わずクスリとさせられる。

ちなみに、このスイマーズ一家、中盤でベルゼブブに懲らしめられる雑魚キャラかと思いきや、終盤で再登場。アッと驚くような活躍を見せるので、未見の方はぜひ楽しみにしてほしい。

鳥山明作品をずっと追っている方々、『ドラゴンボール』で止まってしまった方々、そして、現代の子供たちも、劇場に足を運ぶべき必見の作品である。

(文・ZAKKY)

【作品情報】

■タイトル:『SAND LAND』
■公開:2023年8月18日(金)
■コピーライト:©バード・スタジオ/集英社 ©SAND LAND製作委員会
■スタッフ
監督:横嶋俊久
脚本:森ハヤシ
原作:鳥山明
■出演
田村睦心、山路和弘、チョー、鶴岡聡、飛田展男
■上映時間:106分
公式サイト

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