中国の経済成長と映画『君の名は。』の大ヒット
その後、新海誠は2011年に『星を追う子ども』を発表。日本での公開規模はそれまでとは比べ物にならないほど大きかったが、興行的には失敗に終わる。
しかし、中国では、国内最大級のアニメ・漫画の祭典「中国国際動漫節」の最優秀作品賞にノミネートされるなど高評価を獲得。新海監督自身、民間のイベントに積極的に参加し、中国のファンとの距離を縮めていった。
こうした活動が、後年の爆発的人気と興行収入に繋がっていく。
新海誠が日本で本格的にブレイクするきっかけとなった作品が、2016年公開の『君の名は。』であることに異論を挟む者はいないだろう。日本国内の興行収入は250.3億円と歴代5位をマーク。新海誠は一躍、日本を代表するアニメーション作家として、アニメファンのみならず、一般層にまで広く名を知られることになった。
「一方、中国に目を転じると、2010年代に入って以降、経済成長率は右肩上がり。それに伴い、中国映画市場の規模も拡大を続け、それまで映画館がなかった地方には続々とシネコンが建てられました。
元々海賊版文化によって、中国の映画ファンに“新海ブランド”が浸透していたのに加え、爆発的な経済成長による映画市場の拡大も相まって、『君の名は。』は、当時、中国で歴史上最もヒットした日本映画になりました」(徐昊辰氏)