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佐藤勝による和製マンボーがもたらす型破りな魅力ー音楽の魅力

(左)ジョージ・ルーカス(中)黒澤明(右)スティーブン・スピルバーグ【Getty images】
左ジョージルーカス中黒澤明右スティーブンスピルバーグGetty images

本作の音楽を担当するのは佐藤勝。石原裕次郎の主演作品や岡本喜八監督作品など、300本近い映画の音楽を担当してきた大作曲家だ。

黒澤作品の音楽は長らく盟友である早坂文雄が担当してきたが、『生きものの記録』(1955)の撮影中に急逝。その跡を継ぐ形で弟子の佐藤が参加し、それ以降黒澤作品の音楽を数多く手掛けてきた。

そんな佐藤が手がける音楽はなんとマンボ調の楽曲だ。メインにはブラスセクションやドラムが多用された賑やかな音楽は、およそ時代劇の楽曲とは思えない。

まず触れなければならないのはオープニングに流れるメインテーマだろう。サックスをメインとするブラスセクションの力強いメロディラインに打楽器の忙しない音色がガチャガチャと絡み合い、観客の期待をいやが上にも高める。

そして、衝撃的なのは、おりん率いる芸妓衆が三十郎をもてなすために演奏する楽曲だ。この音楽は三味線や和太鼓といった和楽器で演奏されているものの、忙しないテンポや踊りも相まってどこか異国の音楽のようにも感じられる。なお、音楽家の細野晴臣は、中学生の時にこのシーンを見て衝撃を受け、音楽を聴きに6回も劇場に足を運んだという。

『酔いどれ天使』(1948)では、笠置シヅ子の「ジャングル・ブギー」を劇中歌に採用した黒澤。音楽のセンスもなんとも型破りだ。

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