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映画史に輝く傑作密室劇…日本版&リメイク版との違いは? 『十二人の怒れる男』徹底考察。陪審員を描き分ける演出と名言も解説

text by 編集部

●第7回 ベルリン国際映画祭(1957年)
金熊賞 シドニー・ルメット

演出:
14点
脚本:
18点
配役:
14点
映像:
13点
音響:
11点

映画『十二人の怒れる男』をあらすじ(ネタバレ)、演出、脚本、配役、映像、音楽の項目で徹底解説。シドニー・ルメット監督、ヘンリー・フォンダ主演。舞台やドラマで何度もリメイクされる名作。リメイク版との違いは? 陪審員の違いを描き分ける演出とは? 多角的な視点で明らかにする。<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>

『十二人の怒れる男』【ネタバレなし】あらすじ

映画『十二人の怒れる男』のワンシーン【Getty Images】
映画十二人の怒れる男のワンシーンGetty Images

スラム街に住む17歳の少年が親を刺し殺した事件の評決を取るため、無作為に選ばれた12人の陪審員たちが集まってくる。その日は夏の暑い日で、陪審員室に集まる男たちからは、早く終わらせて家に帰りたいという雰囲気が漂っていた。

被告がスラム街出身であることと、裁判の内容を踏まえても有罪、すなわち死刑は決定的なはずだった。しかし評決は11対1。陪審員制のルールでは全員の意見が一致しないと判決を出すことができない決まりである。少年の無罪を主張するのは8番の陪審員だった…。

蒸し暑い部屋にうんざりしていたことと、この後の予定のことを考えて審議を早く終わらせたい他の陪審員たちは8番を責めるが、「証人は目撃者の女性と物音を聞いた老人だけ。この2人の証言が間違っている可能性もある」と反論。

「スラム街出身の少年なのだから嘘をついているに決まっている」と決めつける他の陪審員には「証人の女性もスラム街の出身なのに、どうしてそちらの意見は信じるのか?」と引かない。

こうして陪審員室の中では、犯行の状況を検証し直す作業が始まった。

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