切なくも美しいエンニオ・モリコーネの旋律~音楽の魅力
『ニュー・シネマ・パラダイス』といえば、オーケストレーションによる切なくも美しい音楽が印象的である。とりわけメインテーマは、だれしも一度は聞いたことがあるだろう。
本作の音楽を手掛けたのは、映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネ。『荒野の用心棒』(1964年)『夕陽のガンマン』(1965年)などのマカロニ・ウエスタンを数多く手掛け、その後は『ミッション』(1986年)や『アンタッチャブル』(1987年)などでアカデミー賞に6回ノミネート。
2007年にはアカデミー賞名誉賞も受賞している。今回は、彼の作品から、「メインテーマ」「愛のテーマ」「過去と現在」「成長」の4曲について説明したい。
まずは「メインテーマ」。映画のオープニング以外にパラダイス座のシーンでのみ流れる本作は、ピアノとサックスによる旋律が印象的で、映画全体の基調低音である哀愁を表現している。
「愛のテーマ」は、エレナを振り向かせようとトトが奮闘する場面と、ラストにトトがアルフレードの形見のフィルムを見るシーンで流れる。寂しげなクラリネットとフルートの音色が印象的である。
「過去と現在」は、主にトトの幼年期で流れる楽曲。3拍子の軽やかなリズムが、いたずらっ子トトを巧みに表現している。
「成長」は、主に後半部において随所に登場する。弦楽器の響きとギターによる美しいメロディが印象的な曲である。
なお、モリコーネは、2020年に91歳で逝去したが、トルナトーレが2023年にトルナトーレ自身が監督した彼のドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』が公開されている。
本作は、モリコーネの生前最後の姿をとらえたドキュメンタリーで、サルヴァトーレ・カシオも登場するという。こちらも併せて楽しみたい。
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